Latest issueソワニエ最新号

バックナンバー

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年

さらなる至福への扉を開く、<ペアリング>という愉しみ方

さらなる至福への扉を開く、<ペアリング>という愉しみ方

コースの流れの中で、料理に合わせた酒を1皿ごとに提案するペアリング。酒と料理、双方の持ち味を引き出すべく考え抜かれた繊細なマリアージュは、その食事から得られる喜びをワンランク上の至福に導いてくれる。数年前から関東・関西のレストランで普及しつつあるこのスタイル、最近ようやく福岡でもメニューに採用する店が現れはじめた。

取材・文/葉山巧 撮影/竹内さくら


和洋を交えた豊富な酒がもたらす美味しい出会い

九州産中心の高級食材を用い、贅を尽くした11~13品構成のディナーコースが楽しめる『セゾンドール』。ベテランシェフ・前山仁さんによる”日本人の感性を生かした創作フレンチ“が客を魅力してやまないこの店は、2015年のオープン以来、ペアリングの魅惑を発信してきた先駆け的存在でもある。しかも、ディナーなら10種類も出されるという満足度の高い杯数、お値打ち品を多数含む厳選された銘柄、ワインだけでなく日本酒や焼酎まで含む多彩な酒類──と内容も圧巻。コスパの高さで国内外の飲食関係者を驚かせているとの逸話も素直に頷ける。10種類といっても1杯あたり50~60mlなので、それほど酒が強くなくても心配はない。
「料理とお酒が互いに高め合えるペアリングは、店側にとっても楽しい試み。基本的にワインは劇的に、日本酒は優しく寄り添うようなマリアージュを心がけています」と語るのはマネージャー兼ソムリエの庄島智子さん。「単品で扱わない希少銘柄をお出しすることも多く、お客様には新たな発見をする機会になるのでは。何よりも純粋に“これ美味しい!”を満喫していただけたら嬉しいですね」。ペアリングセットはグレードを変えた2種類を用意。もちろんランチコースでもセットにすることができる。

焼酎 Pairing
[FOOD]62℃で絶妙に蒸しあげた“呼子”クロ鮑に、熊本県“西本さん”の甘いゴボウを添えて。パンチの効いたソースは、ゴボウを煮出した汁に鮑の肝を加えて作ったもの。
[DRINK]「このソースに負けない存在感を持った酒」として選んだのが、宮崎・黒木本店の芋焼酎「球」。前割りして14度まで度数を下げ、さらにソーダで割って仕上げている。
ワイン Pairing
[FOOD]高級魚“スジアラ”のポアレと、長崎県“吉本さん”の有機白菜のコンビネーション。味付けは少量のバターとオリーブオイルだけだが、味わいはどこまでも滋味。
[DRINK]料理に使われた醤油粕やアサリのコクとの相乗効果を高めるべく、白ではなく赤ワインの「オーディフレット ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」を選択。
日本酒 Pairing
[FOOD]メイン食材は同店定番の“唐津”赤足海老。海老のダシに竹炭を加えたソースと、前山さんご贔屓の生産者“岩崎さん”のタマネギで作ったクリームを添えてある。
[DRINK]ペアリングした「庭のうぐいす Ulala」は、甲殻類を使った料理と相性抜群の銘柄。華やかな香りが海老の旨味をグッと引き出す、甘みのある日本酒だ。

食堂セゾンドール 住所:福岡市南区高宮1-3-32高宮第2オークマンション1F TEL:092-524-0432 営業時間:12:00~OS14:30/17:00~OS21:00 定休日:水曜 席数:20席 MENU:ペアリングセット5400円・7560円、ランチコース5400円・7560円、ディナーコース10800円~

※料理・酒ともに2月の例。内容は季節によって変わる。

【続きは本誌54ページで】

ソワニエ vol.48 2018年3・4月号より