vol.48
7月の限られた期間にだけ開かれる、福岡でも数少ない桃の観光農園。
ここでは木の上で完熟した多彩な桃を皮ごと味わえる。
フルーツ王国・うきはといえど、桃狩りができる観光農園は一軒しかない。それが秦忍さん、澤水司さん姉妹が営む『明果園』である。ここで育てた桃は市場には出回らず、農園を訪れた人の手にだけ渡るーー先代の父から続く『明果園』の強いこだわりだ。理由を尋ねると、減農薬・有機肥料栽培への思いがあった。「減農薬なので、市場の桃と比べると形が不揃いなものもあります。その背景を伝え、共感した人に購入してほしいんです」。減農薬の取り組みを始めたのは父の代からで、今もその栽培方法を踏襲している。除草剤を使わずに微生物を活性化させて行う土づくり、一年を通し剪定を重ね木への負担を軽減するなど、丹念な管理や手間を惜しむことはない。それでも「特別なことはしていません」と笑う二人。現在は、納豆菌を使った葉面散布や新たな自家肥料作りにも挑戦しており、自分たちの色を模索し続けている。
観光農園の営業は、7月中のわずか2週間。それでも来園者は年々増え、桃に皮ごとかぶりつく姿は毎年恒例の光景だ。消費者と心を通わせながら、最後の1個まで手売りする。父親譲りの実直な姿勢は、これからも変わることはない。
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