まちを歩いていて漂うキンモクセイの香り、美術館で出合う絵画の鮮やかな色合い。
オーセンティックな知識と五感で感じるヒントをもとにその手から感性豊かなお菓子が生み出される。
取材・文/三浦翠 撮影/勝村祐紀
運命を変えたのは、ケーキショップの喫茶部門でアルバイトをした後、専門学校の研修で訪れたフレンチの店で目に留まった一冊の料理人の本だ。「当時の校長先生にお願いして、そのシェフの店で研修をさせてもらったんです」と話す大塚良成さん。それこそが、フレンチ界の巨匠とも称される井上旭シェフの店だった。厨房に流れるのは張り詰めた緊張感。精神的に限界を迎えそうになる日々の中、出合った一皿が「アシェットデセール」だ。「お皿に甘酸っぱいソースが敷かれて飴細工がキラキラしていて、芸術作品のようで。パティシエという確立された職業を知り、コースの中のお菓子という位置付けがこんなにも深いのかと感銘を受けました」。
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