今日の正解は、明日は違うかもしれない。
だからこそ、日々最善を尽くす。
料理も空間も接客も、すべての要素をこつこつ磨いて唯一無二の店を目指していく。
取材・文/三浦翠 撮影/勝村祐紀
百式
故郷の門司で小学生の頃、父と行った炉端焼きの店が原点。「すごくエンターテインメント性があって胸が躍りました」。そんな上山さんが料理人を志したのは22歳の時。一度社会に出たものの心がのらず、母の知人がロサンゼルスにオープンする日本料理店の料理人を探していると聞き、アンテナが立った。「小説『深夜特急』に憧れてバックパッカーをしたりと、海外志向が強かったんです」。飛び込んだ北九州の寿司屋で基礎を身につけ、渡米して働くも胸に浮かんだのは「もっと職人として腕を磨きたい」というもどかしさ。そこで出会った「焼き鳥八兵衛」の大将に誘われ、帰国して「八兵衛」で4年、更に「柳町一刻堂」で魚を学び、店づくりや職人としてあるべき姿を体に叩き込んだ。
“あの炉端焼きの店の現代版”を胸に『百式』を警固で開いたのは33歳の時。30坪の店は常に満席で、瞬く間に繁盛店の仲間入りを果たした印象があるが、自身の中では紆余曲折ばかり。「一番悩んだのがスタッフ。なかなか職人が集まらず、辞められたら怖いから言いたいことも言えなかった」。しかし店主として「一人になってでも店を守る」と腹を決め、その本気がスタッフに伝わってから、店は一層研ぎ澄まされていった。
百式
住所:福岡市中央区今泉1-4-25 サミット天神南1F
TEL:092-791-8385
営業時間:13:00〜OS22:00
定休日:不定
席数:30席
クレジットカード:可
QRコード決済:一部可
喫煙:喫煙席あり
駐車場:なし
吟醸豚の西京味噌焼き390円、コース(ご飯なし)7500円、コース(ご飯あり)8500円
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