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郷土料理研究部 第五回 福岡県 博多雑煮

郷土料理研究部 LOCAL FOOD RESEARCH CLUB

第五回福岡県博多雑煮

雑煮を通して見えてくるのは人々の暮らし、そして未来への願い。

室町時代に京都の公家で誕生した雑煮は、諸大名や武将によって自国へ持ち帰られ、各地域の多様な食材と合わさり、全国津々浦々、様々な形へと姿を変えていった。中でも今回は、私たちに馴染み深い博多雑煮の歴史を紐解いていきたいと思う。
博多では江戸時代中期に雑煮が流行し、この頃から庶民にも食べられるようになった。当時は鯛などを含め約12品の具材が入っていたという。そして大正〜昭和初期にかけて現在のブリやカツオ菜が入った形になったと言われている。博多商人の気前の良さから他の地域に比べて具材が多く、豪華なのが特徴の一つ。出汁にはアゴを使用し、すまし仕立てで風味が香る上品な味わいだ。
具材の中でもブリについては興味深い話が多い。当時の博多では年末になるとお世話になった人にこも巻きのブリや酒樽を贈る風習があった。面白いことに、軒先に吊るされたブリの数や、家の外に置かれていた酒樽の数によって、一年の景気をうかがっていたらしい。そして正月に客が来るたびに軒先のブリを人数分切り取って、雑煮に使用していた。

作っていただいたのは...
もちカフェ 月うさぎ

糸島ののどかなエリアに佇む築90年の古民家カフェ。餅を使った料理やスイーツを提供しており、博多雑煮は通年いただける。 住所:福岡県糸島市二丈浜窪243-1 電話番号:092-332-8320 営業時間:11:00~16:00 定休日:月~水曜 席数:16席 クレジットカード:可 QRコード決済:一部可 喫煙:禁煙 駐車場:9台 メニュー:月うさぎセット1700円、焼きもちセット1000円

取材・文/藤﨑智子 撮影/目野つぐみ





続きは本誌で

ソワニエ+ vol.64 2020年11・12月号より