郷土料理研究部 LOCAL FOOD RESEARCH CLUB
夏が来た。うだるような暑さに食欲がなく体調を崩しがち、という人も多いだろう。年々夏の暑さが厳しくなっているような気がするが、夏を暑く、冬を寒いと感じるのは昔から変わらない。特に南国・宮崎なら、なおさら。宮崎では昔から農作業が一段落した昼、人々は冷たい冷や汁をごはんにかけて食べていた。「やっぱり夏は冷や汁に限るなあ」なんて話しながら木陰で休憩していたのだろうかと、想像は膨らむ。
そもそも冷や汁とは、アジなどの魚を焼いて身をほぐしたものを味噌と合わせ、すり鉢ですり、火で炙る。それを冷やした出汁で溶き、きゅうりや大葉、ミョウガ、豆腐などの具材と合わせたものをいう。見た目によらず、手間のかかる料理で、単なる〝ねこまんま〞とはワケが違うのだ。
その歴史は諸説あり、元々薩摩藩の常食だったものが参勤交代により全国に広まったとも言われている。現在でも愛媛や岡山などに〝さつま〞の名で同様の料理があるようだ。他にも、鎌倉時代の「鎌倉管領家記録」に「武家にては飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷や汁をかけ参らせ候」とあり、僧侶が流布したという説も。とにもかくにも栄養豊富でサラッと食べられるため、重宝されたのだろう。
取材・文/藤﨑智子 撮影/目野つぐみ
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