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2010年11月26日更新

福岡発の老舗ソースメーカーが、いま面白い!

「商品を地域活性に役立てるのが夢」と今村社長。「商品を地域活性に役立てるのが夢」と今村社長。

 ここに「博多 炒めもんソース」という商品がある。製造元は福岡市清川の『コックソース』。創業は昭和2年というから、じつに83年の歴史を誇るソース専門メーカーだ。昭和20年代からは主に業務用ソースを手掛けてきたため、一般ユーザーには馴染みのない社名だろう。でもこれを機に、ぜひ皆さんにもこの会社を気に留めてほしい。ここ数年の同社の取り組みには、ちょっと心惹かれるものがあるからだ。

 ひとことで言えば“コラボレーション”。きっかけは2年前、「毎年大量に廃棄している柿をソースの原料にできないか」という浮羽町NPOからの相談だった。生の素材からの開発には手間がかかるので、食品メーカーは大抵この種の申し入れを拒むもの。だが、二代目社長を務める今村隆虎さんは違った。「常に新しいモノ作りに取り組む。それが創業以来のウチの精神ですから」と今村さん。東京農大醸造科卒、温厚な物腰の57歳だ。「それに大企業ではこのような小ロットの注文を受けにくい。そんな時こそ、私たち地場企業の出番でしょう?」。ほどなく柿の風味を生かしたソースは商品化に成功。浮羽の人々を大いに喜ばせた。

ほとんどのソースは、この“かくはん機”から造られる。
ほとんどのソースは、この“かくはん機”から造られる。

 そして現在、コラボの分野はソースだけにとどまらない。ある人から「究極のジンジャーエールを作りたい」と耳にすればショウガベースの原液を開発し、新作豆腐を抱えた人が現れると専用のタレをゼロから造りあげる。他にもユニークな案件がたくさんあるのだが、守秘義務でお伝えできないのが実にもどかしい。

昭和レトロが香るロゴマークはいまなお使用中。昭和レトロが香るロゴマークはいまなお使用中。

 冒頭の「炒めもんソース」も、こんな流れから生まれた商品のひとつ。廃棄量が年間数トンにも及ぶという規格外タマネギの有効活用を狙った、福岡市とJA福岡市による農商工連携プロジェクトだ。今春に企画された本品は、コミット(福岡市コミュニティビジネス販路拡大支援センター)プロデュースのもと、今村さんの手を経て10月26日に発売。豊かなタマネギの旨みが生きたこのソース、野菜炒めにはもちろん、焼そばやカレーの隠し味にもピッタリの秀作となった。

 こうしたコラボを支える原動力には、もうひとつ、今村さんの「貢献」に対する思いがある。今回を例にとれば、タマネギ活用は農家を守ることにつながるし、おいしいソースは子どもたちの野菜に親しむ機会を増やすだろう。またラベルには、アート活動を行なう社会福祉法人「まる」のイラストを起用。彼らの知名度を広げる一助になればとも願っている。「だからこの1本には、いろんな意味や夢が詰まっているんです」。ビンを手に取ると、今村さんはそう言って目を細めた。

戦後の社員たち。皆の顔つきの何と凛々しいことか。
戦後の社員たち。皆の顔つきの何と凛々しいことか。

 今後もいろんな出会いを通じ、自分たちにしかできない形でコラボを続けるつもりだ。近頃は若い人からの相談も多く、今村さんはそんな彼らの情熱を頼もしく思っている──福岡飲食業界の未来はまだ大丈夫、と。だがそれを支えるのは『コックソース』のような、地場の小さな“陰の立役者”たちなのである。

無添加・無化調の「博多 炒めもんソース」(380円/税別)は、博多大丸やJA「博多じょうもんさん市場」などで手に入る。ネット通販も有り。
無添加・無化調の「博多 炒めもんソース」(380円/税別)は、博多大丸やJA「博多じょうもんさん市場」などで手に入る。ネット通販も有り。

 それでは最後に、今村さんにソースの魅力を語ってもらい拙稿を終えよう。「野菜や果物、それに酢やスパイスをふんだんに使うソースは健康面からも再評価されている調味料です。いろんな素材をブレンドして作りますが、その過程で思わぬ味わいが生まれるところが面白い。そう。味も人の健康も、バランスが肝心なんですよね」。

 ちなみにアメリカ国立ガン研究所も、ソースがガン防止のため積極摂取を推奨するデザイナーズフーズ(体に有用な成分の多い植物群)を多く含むことを指摘。すっかり身近すぎる存在となったソースだけれど、こんな視点から見直すのもいいかもしれない。

社屋のシャッターを飾るのは福祉作業所「Studio Ashi」さんによるイラスト。
社屋のシャッターを飾るのは福祉作業所「Studio Ashi」さんによるイラスト。

文:葉山 巧

店舗DATA

【コックソース 株式会社】
住所:
福岡市中央区清川2-16-7
TEL:
092-531-5561
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